女の子たちは幼いときから仲良し子好しで成長してくる。仲良し子好しは歌の文句で、実際の人間関係では、そこにハバにするようなことが起こり、いじめ合いが少なくない。3人の仲良しで、中に強い子が一人いると二人のうち一人がハバにされることがある。それでも女の子たちは長い間つき合って、仲良し子好しになっている。女の子にとって一人で行動することはつらいことである。みんなで食事をするとき一人で食べ、教室を移動するときも一人になるのはつらい。いつも誰かそばにいてほしいのだ。
この仲良しの仲間に入れないときに不登校になりやすい。
小学校高学年から中学校にかけて女の子にも独立の気運がおこる。この仲良しの関係から少し離脱する。何となく今までのように一緒にしていられなくなる。かといって、一人で過ごすことを突っ張る独立性もない。どうしてよいかわからないので不登校になるのではないか。
ある小学生は5,6キロ離れたショッピングセンターまで友達と自転車で遊びに出かける。学校に行けなくなってから夜外に出て星を見るのが好きだという。明らかにロマンチックな心が出てきたのである。夢見る少女の誕生である。
夢見る心、無意識の心の願望が心の中で花開き始めたのである。
女性の夢見る心を動かすもの、それはアニムスと呼ばれる。女性の心の中の男性的な要素である。この男性的な、少し独立的な心を持った女の子は、少々つらいこと、つまり仲間はずれがあっても仲良し子良しでつき合って行くおんなの関係から離脱する。あるときは仲良しとつき合い、あるときは離脱して一人になる女の関係から見るとそれは自分勝手な行動である。でも独立した生き方はこのようにして始まるのではなかろうか。
中学から高校までこのような少し独立的な女の子はどのように過ごしているのだろうか。教室の様子がわからないで知る由もない。
大学生になると、このような一人になった女子学生は沢山いる。教室の後ろには仲良しの学生たちが固まっている。試験のときでさえくっついていようとする。前のほうには一人で過ごしている学生が何人もいる。15名くらいのゼミで、3,4人の仲良しグループができ、他にいつも一人で過ごしている複数の学生がいる。互いに一言も口を利かない。
入学したときたまたま近くにいた者同士が仲良しになる。だから仲良しの関係では学籍番号が近いものが少なくない。仲良しはそうしてできる。仲良しになれない者が一人で過ごす。これが入学して4年間変わらず続くのである。女子では友達を作るという出会いは大学ではないのか。このあたりのことがあまりわからない。
アニムスを持った少し自立的な男性的女性は大学生になると大丈夫なのだが、小学校高学年から中学まで、青年期の前半が大変苦しいのではなかろうか。女おんなした、べたべたした、秘密のない、いつもおしゃべりしている関係から離れ、自分の心をもち、自分で考える女性のあり方をもっと支えることが大切ではないかと思う。