カウンセリングの最初の面接では、今日はどんなご相談でお見えになりましたか、ご自由にお話くださいといって始まる。
クライエントが話を始める。そのときクライエントは自分のこころの中を見つめながら考えてきたことや思い出したことなど、こころの中に出てくることを言葉にして話す。言わば、自由反応段階で、第一段階である。
相談室にくるためにあらかじめ考えてきたことは大体2,30分で終わるだろう。40分、50分と話し続ける人もある。大抵は30分もすると大方語りつくしている。人がこころの中に貯めていることができるこころの量とは大体そんなものであろう。
次に、第二段階の質問が始まる。いつ頃からその問題はありますか。他にどのようなことでお困りですか。これまでどこかでご相談なさったことがありますかなどについて聞くと答えが返ってくる。
そこで、その人の生育過程、育った環境などについて聞くことができる。当面している問題、解決への意欲、周囲のサポートなどについて知ることができ、これからカウンセリングをどのようにしていくことができるか考えることができる。
質問もあらかた終わると、さらに話をすすめることになる。
この段階は第3段階である。
この先の過程で、クライエントがさらに思いつくままに話すことができるということは、新しい観点やこころの領域が開けるということである。第一、第二段階で話してすっきりすると今までに見えなかった新しい部分が見えてくる。このように新しいところが見えてくると話は展開し、その人の生活が開けてくる。このような心理面接は理想的である。しかし、このような過程は第一、二段階の繰り返しである。
本当の第3段階は心に向き合っても何も出てこない段階である。この先何をどのように考えていいかわからない。言葉による面接は行き詰っている。この先どのように勧めたらよいかわからないときに技法が用いられる。
そこでは技法が用いられる。夢分析、箱庭療法、コラージュ療法、風景構成法などである。あるいは更なる質問、それはカウンセラーの心理学に基づいた分析的な質問によるクライエントのこころの解明ということになる。
技法を安易に用いると、クライエントが自分でこころを見つめることやカウンセラーの質問や意見によってこころを深く見つめる共同作業ができないことになるので考えなければならない。
箱庭療法やコラージュ療法や夢分析はそれ自体が治療的な要素を内包しているので、解釈はしない方が良いとする立場もある。そのためクライエントに意味がわからないまま進行することになる。ここではクライエントと治療者の共同作業はなくなり、クライエントは治療者の要請でもっぱら技法に応じることになる。それは言わば治療者へのサービスである。
クライエントとの関係を良く保つためには、自由反応段階、質問意見段階を重視するようにしなければならないことがわかる。