心がきちんとしない人へ

 悩みをお持ちの方は、自分のこの悩みをどうしたらよいか困っておられると思います。ある人は仕事をしながらしょっちゅう悩みのことが気にかかって困ると言います。悩みが頭から離れてくれないのです。相性の悪い恋人につけまわされるようなもので、なかなか逃げられない。うまいこと逃れるまじないは無いものかと考えます。でも、まじないはちょっと効いてもすぐに元に戻るでしょう。そこで私は次のように考えました。

 例えば人のことが気になって仕方がないという悩みを持っている人があります。

そこには、人のことが気になるということと、気になって困っている自分があります。人が気になるという意識と困っている自分です。気になるという意識が押し寄せ自分が困るのです。自分が気になることで圧倒されているといって良いでしょう。

そうすると、気になることに圧倒されないような強い自分を作ることが大切ではないでしょうか。人は気をしっかり持てと助言します。でもその助言は何一つ役に立ちません。

 自分を作るにはどうしたらよいのでしょうか。主体的な自分が出てくるのは幼児期です。人が遊びに一番熱中できるときです。それなら今からでも遊んだら良いのです。でも、大人になると遊べません。テレビゲームやマージャンなどの遊びは既製のものに縛られた遊びですから、それは本当の遊びとは程遠いのです。

 本当の遊びは思いつきの、まったく何ものにも捉われないものです。ジッとして空想に身を任せるのも遊びですが、それではあまりに「私」の主体性がないので消えていき、夢から醒めるのと同じです。子どものように無心に遊べると良いのですが、それが難しいのですね。こんなとき箱庭療法‐箱庭遊び‐が一番良いと思います。

 それで、私は最近箱庭療法を勧めます。

 箱庭療法の玩具の棚の前に立って、玩具を見て、思いついたものを並べ、何か作ってみるのです。そうすると自分の心の世界が出来てきます。意味はわからなくても、何回も繰り返しているとあなたの「自分」ができてくるでしょう。そのときあなたの悩みは消えることはありませんが、多少とも悩みに煩わされずに生活できるようになっているのではないかと思います。

 

 心に悩みを抱えても待っている人はどうぞ箱庭を作りに来てください。お待ちしています。

 

 

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