心理療法の実践を学ぶ人へ

 臨床心理士の資格を取って、あるいは、大学院を修了して、スクール・カウンセラーあるいは準スクール・カウンセラーとして学校に配属され、これから始めて心理療法を経験する人あると思われます。あるいは、大学院の相談室で事例を担当し、スーパービジョンを受けながら面接をした人も学校に配属されて生徒や親の面接を一人で担当すると責任感が重くなって初めの心理療法のような気分になっている場合もあると思います。

 そのような時は、大学院で心理療法の理論を学んでいてもなかなか、クライエントの訴えに耳を傾け、共感し、受容することは難しいと思います。すると、背負った責任感から何か問題の解決をしなければならないと思って、やたらに助言や説教が出てくるのではないかと思います。それでは折角大学院で習ったものを生かせることが出来ません。

 先ずは、初心者は新しい場に入ったのですから、その状況を良く観察す必要があると思います。そこでは良く話を聞こうとか、共感し、受容しようとか、そんなことはやめることです。その代わりに観察したこと、つまり、気づいたことや心に残ったことを詳しく記録に残すことです。それ以上のことをする必要はないと思います。

 次には、その詳しく書いたその記録を持って自分を育ててくれそうな先生のところに行きスーパービジョンを受けてみることです。

 スーパーバイザーに自分の経験、観察したことや感じ、考えたことを聞いてもらうと、そのことであなたに話を聞いてもらう姿勢ができてきます。

 その姿勢で次の面接に向うと、今度はあなたが生徒や親の話をありのままに聞く姿勢になると思います。これで心理療法的な面接が出来るようになると思います。

あなたの話をありのままに聞いてくれるスーパーバイザーだと、あなたはクライエントの話をありのままに聞くカウンセラーになります。これを心理額的立場に立って、あなたの面接内容を心理分析されますとあなたはクライエントの話を聞きながら心理分析するようになるでしょう。その分析的な姿勢は専門家的なのですが、クライエントの方は心理分析されているという感じを持つでしょう。しかし、その分析は分析心理学で、心の声に耳を傾けるやり方ではありません。心の深層の声を聞くためには心理療法の理論も分析もやめ、自分が捉われていることがなくなるように良く事態を見ることです。捉われていることがあると心は大体見えてこないものです。

 カウンセラーの仕事は、捉われ、偏見、理論的な見方も偏見ですが、それらを出来るだけ捨てて、自分の感性でよく観察することです。

 先に、観察記録を持ってスーパーバイザーのところに先ず行きなさいと書きましたが、それは心にかかわるほど事態が良く見えなくなるからです。心の世界は暗くわからないものです。本を読むとわかったようにないてありますが、心理療法家が実際に当面している状況は一寸先は闇です。闇を見通すにはスーパーバイザーの目に頼ることをお勧めします。

 

 学びたい人は勇気を奮って私の木曜セミナーに今からでも参加して学んでください。記録のつけ方から教えてあげます。檀渓心理相談室にどうぞ。