去る6月4日から9日、朴女史の計らいで、箱庭療法のセミナーに行ってきた。
木浦ではKim先生の木浦市の相談室でセミナーが行われた。先生のご自宅はソウルにあり、ご主人とは終末婚である。相談室は大学にもあり、また、木浦のお住まいは別のところのようである。
このセミナーには木浦周辺で働く女性カウンセラーが15人ほど参加され、朝9時から3時半まで参加者自身が箱庭を作るという、こちらで行われている箱庭制作体験であった。
ここではセミナー主催したKim先生も箱庭を作られた。そこには先生の人生の転換点のようなイメージが現れていて、私は先生ご自身のためにも呼ばれたのではないかと思った。
先生だけでなく、参加者が作った箱庭はどれも現在直面している生活状況が如実に出ていて、私はコメントしながらそれぞれの人の世界に引き込まれ、個人的な生活内容まで立ち入って、韓国のインテリジェントな女性たちが当面す問題を一緒に考えることになった。
私は最初から相当に突っ込んだコメントをしているにもかかわらず、というよりも、私が突っ込んだコメントをしたためにみんな自分の本当のことを箱庭に出されたのではないかと思った。箱庭の表現内容を通じて本当のことを話し合うこと、それが良かったと思う。 Kim先生のメールを読むと、私のコメントは深くファンタスティックであったらしい。
参加した人たちは、多くが結婚し子どももある人が多かった。また、Kim先生のように週末婚をしている人も多かった。そして何よりも強く感じたのは韓国における大家族制の崩壊、すなわち、核家族化である。木浦は韓国の西南の端の港町である。このようなところだからインテリジェントな人では核家族化がより進んでいるのかも知れない。その核家族化のイメージが箱庭に出ていた。以前は箱庭の世界に両親像が多くあったけれども、今回は明らかに核家族的だったと思う。
さらに、驚くべきことに、箱庭のなかに夫の姿が見えないというものもあった。女性カウンセラーの自分を中心とした人生観がしっかりとしてきているのである。主体的に生きる女性が韓国に現れてきていると思う。みんな活動的で積極的で、私のコメントに対しても率直な質問が出てきて気持ちのいい話し合いができたと思う。ひたすら先生の意見を聴く日本人の女性と対照的であった。