河合隼雄先生と太陽―シンクロニシティ・コンステレーション

日本心理臨床学会や日本臨床心理士の理事をしていらっしゃる滝口俊子先生から出版されたばかりのご著書『夢との対話』(トランスビュー)をお送りいただきました。誠に光栄なことです。
 この本は滝口俊子先生が河合隼雄先生に受けた21年間754回の教育分析の一端を書かれたもので、河合隼雄先生の仕事の裏側の記録でもあります。生きるために分析を受けたい方にお勧めします。
 河合隼雄先生はシンクロニシティに特に関心をもってユング心理学に入って行かれたといっても過言ではないと思いますが、そのコンステレーションが先生の死後も続いていたことに驚きました。
 先生がアメリカでクロッパー先生の勧めでシュピーゲルマン先生に分析を受け始められました。分析家シュピーゲルマン先生は、河合隼雄先生に会う前に、「太陽が西から昇る」という夢を見たと、初めて来日された時、京都での講演でお話になった。このことは河合隼雄先生も初耳だったとどこかに書いていらっしゃいます。
 また、ユング研究所の資格取得のための研究論文は、はじめスサノオで書こうと考えておられたのですが、神話学者ケレーニイに会うと、ケレーニイはアマテラスのことを熱心にしゃべりだしたので、アマテラスのことも考えなければならなくなったのです。スサノウとアマテラスのことを考えると、その間にいるツクヨミのことも考えなければなりません。そのツクヨミが漠然とした存在なので、そこから中空構造論が出てきたと思われます。ここにアマテラス、つまり、太陽が関与しているのです。
 そして、シュピーゲルマン先生が樋口和彦先生と共に河合隼雄先生のお墓参りに行かれたとき、太陽を囲む丸い虹が出たのです。それを樋口先生はカメラに収めておられ、その写真が本書に出ています。このことは本書で初めて知りました。
 西から太陽が登る夢を見たシュピーゲルマン先生のその時の驚きは如何ばかりだったでしょう。シュピーゲルマン先生はきっと河合が天国から挨拶に来たと思われたに違いありません。これは何度話しても話尽くせないほどの感動的な体験ではないでしょうか。
 河合隼雄先生のたましいは太陽の如く天空に輝いています。しかし、夜に陽は沈み、闇の中で人々の夢の中に時々現れてきます。本書を読んだある人の夢に河合先生が現れて、その方は夢の中だけど河合隼雄先生に会うことができたと喜んでいました。これが河合隼雄先生です。みなさんも、シンクロニシティのレベルで生きていると、きっと先生に会えると思います。先生のシンクロニシティは今も続いています。

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