この1月20日付けで大住誠先生が『うつは治す努力をやめれば治る』という本を出版された。そこには新瞑想箱庭療法が紹介されているので、それについて紹介します。
相手の話を共感的に聞き受容する来談者中心療法は日本人の心性に合って広く受け入れられ、今も多くのカウンセラーがそれでカウンセリングを行っています。
日本には来談者中心療法以前から森田療法という心理療法があって、悩み苦しむことを極点まで進めてそれをストップさせ、その後悩み苦しむことも含めて「そのまま」受け入れることを日記指導で実行させて治しました。
この森田療法は最初の悩み苦しむことを極点まで持って行くことが大変難しいのです。それを大住誠先生は瞑想箱庭療法でやっています。会って少し話を聞き、その後箱庭を作らせ説明を聞きます。この間先生は瞑想し無心になるのです。ですから相談にきた人は先生に話をして箱庭を作り説明をして帰っていきます。これを繰り返して行けば自然治癒力が賦活され人は前向きになって治っていくのです。大住心理相談室を訪れる人はほとんどこの方法で良くなって行くということです。
その新瞑想箱庭療法は河合隼雄の何もしない心理療法をもっと徹底したものです。
幸いにも大住先生はこの4月から開設される同朋大学の臨床心理学の教授に就任され、これからそこでこの新瞑想箱庭療法を広めて行かれることになりました。
この新瞑想箱庭療法は人が本来もっている自然治癒力、仏教的に言えば自力をやめ他力によって治していくものです。現代人は何事も自分の思い通りにやろうとしますが、それでうまくいかないとき、瞑想することによって無心になり、他力の顕現を待つことが役に立つかもしれません。