第7の視点 本来の主体的意識

 本日午後小倉セミナーを開くことができた。今年も先生はお元気で、子どもを見る視点ということで1時間ほどお話しいただいた。歴史的視点、生物学的視点、文化的視点など6つの視点を述べられた。

 始めの歴史的視点では子どもは2歳から4歳ころまではお腹にいたときや出産時のことを語ることができるので子どもの話を聞くと面白いと言われた。このことは以前から聞いていたし、自分でも子どもの遊びの中には産まれて間もなくのことが表現されることを児童養護施設の子どもの遊戯療法の事例から知っていた。

 これらの6つの視点はいわば精神科医や臨床心理士といった知的に訓練された心理臨床の専門的な視点である。

 それに加えてもう一つの、誰にでも備わっている、人間的な視点があるのではないかと思った。その第7の視点は胎児にもある主体的な意識である。

 子どもは母親のおなかにいるときから自分を取り巻く状況を認知している。胎児の時から主体的な意識が働いている。生まれてからことばを獲得してその経験を語ることができる。この認知の主体、主体的意識が生まれてから後もずっとすべての人に備わっているはずである。

 その本来の主体的意識は特に4歳以降、多くの経験と膨大な知識の獲得、親や先生からの教育の成果の集積によってあるかなきかに掻き消えていく。そして人々は親や先生、そして周りの人々やその地域の文化的なものの見方や考え方をより上位に据え、本来の主体的な意識を低く評価するようになるのではないかと思う。

 良くしつけられ、良く教育された人、つまり良い子ほど本来の主体的な視点を失い、バランス機能がうしなわれているのである。

 カウンセラーにとって大切なものは、知的に訓練された心理臨床の専門的視点だけでなく、すべての人が本来持っている主体的な視点であると思う。

 この視点は人の心のバランスの悪さをすぐに見つけてしまう。いわばバランス、心の平衡感覚と言っても良いのではなかろうか。私たちのところに見える人々はこの心の平衡感覚を失った人々で、カウンセラーの平衡感覚に出会うことによって、再び心の平衡を取り戻すのではないかと考えた。

 

 これが今日の小倉セミナーの成果の一つであった。

 

 これから月末まですべてのことを休み、心の休暇に入ります。

 4月からまた始めます。今後ともよろしくお願いいたします。

 

 

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