2014年に富山県心理士会の研修会として行われたセミナーの資料です。
愛知教育大学で西村先生に指導を受けられた方が富山で活躍しておられます。大変熱心な方で、毎年春に檀渓心理相談室で行われていた研究会に富山から日帰りで参加されていました。西村先生もこの方を応援したい気持ちがとても強かったようで、ご自分の方から富山で研修会をしようと提案されたそうです。富山県心理士会の研修会の資料として2014年と2015年の発表資料が残されていますが、他の研究会でも何度か富山に足を運ばれました。
昼食にはいつも鱒寿司を希望され、帰る前にはいつも立山博物館の立山曼荼羅をご覧になり「すごい迫力がある」とおっしゃっていたとのことでした。
この研修会は西村先生の希望で30人限定で行われたそうです。13時から18時まで、西村先生の講義のほかに2ケースの事例検討会も行われ、研修会修了後には懇親会もあったそうです。
なお今回公表の資料はパワーポイントで作成されたものを構成しなおして掲載しました。
真相分析法
確かな人生を送るために
檀渓心理相談室 西村洲衞男
心理療法に替る新しい心理面接法としての真相分析法
・ 人生をより良く生きるために真相分析をおこなうもの
・生活状況を詳らかに調べて、如何に生きるべきかを考えるもので、心理療法とは異なる
・ 精神分析やユングの心理療法はClのコンプレックスを解消したり、悩みや症状をなくそうとするもので、医学領域の療法の一つである。
・臨床心理士は病気や障害を抱えて生きることにかかわる。合理的新興宗教の一つ。
真相分析
・Clの生活歴を調べる
・Clの家族をはじめ地域も文化も調べる
・発達的観点からの査定
・性格や知能の測定
・心理テストによる査定 バウム・テスト、ソンディ・テスト、ロールシャッハ・テスト、箱庭など
・夢分析 過去の印象的な夢、最近の夢
・最近の出来事
心の構造
・ものごとを意識して見て考える私がひとつの中心である。
・その意識を中心にして感情や衝動がある。
・人間は動物で身体をもっていて、その感覚機能は意識の視野の中にある。
・人間には動物的な心が働いていて、それは雰囲気や気配として意識されるが記憶に残ることはない。
・動物的な心は意識に対して夢や気配、雰囲気としてメッセージを送ってくる
・人の心は精神的な心、知性や感情、と動物的な心の2層構造として考えられる。
動物的な心
・人間は脳が知的に進化することによって、動物的な心を見失ってきた。
・動物的な心のメッセージは夢や遊び、空想や衝動的な行為、あるいは、怪我や病気によってわかるだけとなった。
・動物的な心は雰囲気や気配として意識され、記憶に残らない。阿羅耶識(金岡秀友 般若心経)
動物的な心との接触の重要性
・子供は遊びの、少年は空想の、大人は夢のプロセスに沿って生きていると人生がまともになる。
・それを河合隼雄は明恵上人の夢記から、「夢を生きる」と言った。
・夢には解釈はいらない。夢を生きることで人生が正されていく。
動物的な心のサインとしての病気
・人は外界に適応できないとき、病気になりがちで、飲み込み難い仕事を引き受けたとき逆流性食道炎になり、嫌な環境に適応しなければならないとき、アトピー性皮膚炎になる
・頑固に強迫的に仕事に精を出すと、細胞レベルで退行し、ガンになりやすい。
・環境に圧迫を感じるとき高血圧になりやすい
・新たな仕事に挑戦しようとするとき糖尿病を発症する。
・職場で自分らしく振る舞えないとき、腹痛や便秘や下痢に悩むひとは少なくない
心理学的な法則
・人は生まれてすぐから、自分で世界を認識し、この世界で如何に生きていくかを、特に動物的な心は考えている。
・養育過程で愛着が満足されていると、人との接触は豊かになる。
・(精神発達)生活習慣を獲得した後、空想を基にした遊びが展開し、次に現実を離れた空想が発展し、次に現実的に考えるようになる。
続 心理学的な法則
・人は想像力によって、人のことを自分のことのように考える。親兄弟恋人の間で起きやすい。母親思いの男、兄思いの妹。
・愛と攻撃は対人関係の衝動の表と裏で、互いにその裏は見えにくい。
・内面深く動物的心に触れるほど、対人関係が広がりやすい。教育分析を受けてユング心理学を学んだ人はそれだけ、自分の内面を探求した人は対人関係が広がった。
続々 心理学的な法則
・性格の内向性と外向性 内向型と外向型 外向型の人には夢や箱庭の象徴的な内容がわからない。外向型の人は現実の在リ様をよくみているので、夢に現実の対人関係がよく出てくる。内向型の人には非現実的な夢が多い
・Coとしては苦しい情況を生き抜いた人が有能で、物書きの下からは実際家は育たない
人間は世界観・文化に生きている
・現代は核家族化しており、その中で旧家族的な家で生きている人は現代社会に適応できにくい。~情けは人のためならず
・宗教を持つのは人間の特性の一つで、見えないものをあると考える能力を持つにいたった。精神分析はユング心理学も宗教の一つ。
・宗教を超えるには、多次元的な理解が役に立つ。(河合隼雄)
心身の調和の方法
・心身の調和の手段として座禅、ヨガ、太極拳などなど沢山ある。
・夢・箱庭もその一つである。
・夢を報告し、箱庭を作って思うところを率直に話し合っていると、率直に深層の心とつながりやすくなり、人の存在の真相が次第に明らかになる。
・本当のことがわかると人は安心し、生きる意欲が出てくる。これがヨガや座禅との違いである