「古代人の夢信仰」というタイトルで保存されていた文章です。
最終更新日は2008年9月11日、セミナーなどでの講義用に作られたものだと思われます。西郷信綱の「古代人と夢」は、西村先生が夢分析について話をする時に必ず挙げる本のひとつでした。また「ブラックエルクは語る」もしばしば勧められた本です。
夢分析について
檀渓心理相談室 西村洲衞男
1 古代の夢療法
古代人とは夢を信じた人々のことである
古代ギリシャのアスクレピウス信仰
アスクレピウスは医神で、二匹の蛇が巻きついた杖をついている。
古代ギリシャでは病人はアスクレピウスを祭る神殿に詣で、斎戒沐浴し、神殿の医 神の元で眠り、夢を待った。夢を見ると神官に報告し、神官はその夢に拠って治療を施した。患者は治ると神への感謝の詩句を神殿に奉納した。それらの感謝の詩句は神殿の柱に彫り付けられた。
キリスト教の侵入によってアスクレピウス信仰は否定され、神殿も破壊された。
2 日本における夢信仰
日本における夢信仰は国文学者西郷信綱によって紹介された。『古代人と夢』及び河東仁著『日本の夢信仰』
長谷寺の夢信仰、鞍馬寺、清水寺など
夢信仰は鎌倉時代まで続いた、親鸞上人、明恵上人など
近代・現代 藤井日達上人(日蓮宗)
日本で夢が信じられなくなったのはおそらく今昔物語が編纂された頃であろう
3 ネイティブ・アメリカンの夢利用
シャーマン特別な訓練を受けたらしい。砂漠の岩山の上で数日間一人で瞑想する。
汗かき小屋(テント)での瞑想(狭いテントのなかに焼いた石を入れ水を掛けて蒸し風呂にする)
『ブラックエルクは語る』(現代教養文庫) ブラックエルクは9歳のとき声が聞こえ召命される。病の中で幻覚を見る。祖父たちとの交流を経験する。
その後、白人の侵略があり、西部劇を経験し、逃亡の旅を夢に拠って判断している。白人に連れられヨーロッパにも行き、エリザベス女王にも会った酋長ある。彼の一生は夢に導かれている。
4 夢信仰の基本的な考え方
聖なるものを信じ、いのちをかけて祈る 百日の参籠、断食と滝に打たれる修行
自分の問題の設定、生活の行き詰まり、病気、将来の展望など行き方について問う
夢は聖なるものから直接くる 時にはビジョンかと思える。
夢は解釈がいらないほど内容が明確である
夢によって人生、生き方が決定される。
5 旧約聖書の中の夢
創世記のヨセフの物語、モーセの召命(ビジョン)