長谷川泰子
今日が仕事始めだった。やはりお正月を迎えると何か気分が切り替わり、また一からスタートだと思えるところがある。
いつもあまり今年の目標などと大げさに考えることはないのだが、今年は「自分に甘く、優しく」を目標にしようかと考えた。もう50歳も過ぎたし、若い頃、元気が有り余って勢いだけで押せた頃とは違う。疲れも感じず仕事をどんどんこなす、なんて無理である。記憶力だって落ちるから、例えば買い物リストのメモなしでスーパーに行くと、買おうと思っていたものをすべて買ってくることはできない。メモは絶対に必要で、なんならメモを持って行っても買い忘れることがある。
以前はちょっとミスをすると、すぐに自分の失敗を自分で責めたり、必要以上に反省したりしていたが、なるべくそういうことはやめようと思った。失敗を反省しないでいいのか、それだからまたミスをするんだと怒られるかもしれないが、せっかく臨床心理士という仕事をしているのだし、失敗やミスだって意味がある、それもすべて無意識の心の動きがなせる業と考えて受け入れてもいいのではないかと考えた。一つ一つの失敗に目くじらを立てて一喜一憂するのではなく、もう少し大きな視点で考えて、ゆったり構えていてもいいのではないか。そんなふうになれたらいいのにとも思った。一度でうまくやれなくても、何度もやり直せばいい。買い忘れがあればまた行ってもいいし、その食材なしでできるメニューに切り替えてもいい。なんとかなる。失敗を失敗で終わらせず、なんとかなるようにしていく、それを一緒に考えるのが私たちの仕事でもあるのだ。思い通り、予想通りにならないのは先が見えずに不安だが、そこをもっと楽しめる自分になれるといいなぁ、とも思った。
なにより、自分に厳しくしていると、自分以外の人にも知らず知らず厳しい目を向けてしまうことがあるように思う。自分だってがんばっているんだから、お前もがんばれ、がんばるのが当たり前だろう、となりやすい。向上心を持つことが悪いとは言わないし、実際私も少しでも良い仕事がしたいと思っているが、一方でどんなにがんばっても自分以外の誰かになれるわけはない、というのも受け入れなくてはならない事実である。
ここまで書いてきて、ああそうだ、新年のあいさつで、スタッフ3人今後も精進していきますと言ったばかりだと思い出した。しかし私にとっては、自分に甘く、優しくするというのも一つの課題なのだ。新年のあいさつに矛盾することではない、まぁいいではないか、そう思った。