長谷川泰子
目が覚めた時はきちんと覚えていた。うとうとしながらも頭の中で内容をおさらいした。まだ映像はリアルによみがえってくる。夢を記録しようと起き上がったとたん、一瞬にしてすべて忘れてしまった。
カウンセリングに夢分析を取り入れており、夢には関心を持っている。自分自身も夢を見たら必ず記録しており、そのために枕元にはメモ用紙をおいてある。起きたらすぐに記録しないと夢は一瞬にして去ってしまう。夢の考え、無意識のものの見方は、日常のそれとは全く異なるものなのだ。きちんと起きてからでも覚えている夢ももちろんあるが、夢の見方は日常のそれとは全く異なるからこそ、夢がつかみとったもの、夢の思想をできるだけそのまま把握したいと思う。無意識の見方を信頼しているという言い方もできるかもしれない。河合隼雄先生がどこかの本で、分析を受けているとだんだんと長い夢をしっかりと覚えていられるようになると書いていた。分析の間は無意識的なこころの動きへの関心・集中が増すからだろう。河合先生の場合はスイスまで行かれてユング研究所で資格を取るための勉強をしながらの分析だったから、尋常ではない気合の入り方であり、無意識を頼りにする力も強かったのではないか。
日常生活の中できちんと意識できなかったもの、見過ごしたものに目を向けたい、それを知りたい。何よりもそれを知ることで新たな発見や気づきもあり、日常が豊かになる。だからこそ何とでも夢をそのまま記録したいとがんばっている。