長谷川泰子
先日、ある人に檀渓心理相談室でセミナーをやって欲しいと言われた。
相談室を引き継いだのは約2年前で、その時も今もコロナという大きな問題があり、セミナーや研究会が開催しにくい状況であるのは変わらない。また、以前は現在、相談室がある201号室とは別のX号室でも相談業務を行っていたが、引継ぎの際に大部屋があるこのX号室を引き払うことになって、今は参加者が30人程度のセミナーの開催はできない。それでも、規模は小さくなっても、やはりセミナーをやって欲しいと言われた。
研修は大事なので、相談室内部でスタッフだけの会はいくつか続けてきている。臨床心理士である以上、学び続けることはある意味、義務だと思っているが、別に義務だからセミナーや研究会をやっているわけでもない。単純におもしろいからやっている。いろいろ発見や気づきがあって日々の仕事に役立つことも多いし、興味・関心のあることを話し合うのも楽しい。臨床心理学に関わるようなこと、カウンセリングを続けていく上で必要・重要なことを学ぶことが好きでおもしろいと思えるような人がこの仕事を続けられるのではないだろうか。
今年度、相談室を引き継いで初めて参加者を募ってバウムテストセミナーを開催した。参加者は5人の小さなセミナーである。久々にスタッフではない外部の人、ここで初めて会う人とのセミナーを体験して、やはりこういう機会は自分自身のためにも必要だと思った。近くにいるよく知る人、気の合う人との勉強会は気兼ねなく話せて楽しい。だからこそ話が深まるところもあるのだが、一方で馴れ合いになったり視野が狭まったりする危険性もあると思う。
数年前からオンラインのセミナーに参加をしている。自分とは全く違う方向性の臨床的アプローチに関するセミナーだが、講師の先生の考えや実践に興味があって参加を続けている。始めは方向性があまりに異なるので自分の中でバランスを取るのが難しかったが、今は全く異なるからこそバランスを取るためにこのセミナーも大事だと思って参加を続けている。
ここまでこの仕事を続けてきて、今、外に向かって自分を開いていくことは必要なことだと感じている。安定・安心を求めてひとつのことに固まるのは良くない。来年度のことを話すのはまだ少し気が早いけれど、セミナーをやって欲しいと言ってくれた人の期待にも応えて、まずは事例研究会のようなものを定期的にやれたら、他にももう少しチャレンジしてみようと今から考えている。