長谷川泰子
先日、相談室の玄関マットを新調した。今まで使っていたものはずいぶん汚れが目立つようになり、前から新しいものに換えたいと思っていたのだが、なかなか買い求めに行くタイミングを見出せなかった。
玄関用のマットを買うことはそれほど難しいことではない。手ごろな値段のものがあちこちに売っているし、インターネットで探して買うこともできる。しかしカーテンを新調したときにも思ったことだが(「間違いの意味」というタイトルでそのときの経緯は書いた)、やはり自分たちが普段目にして使うものは自分の目で見て選びたい。それに玄関マットは相談室のドアを開けた時に最初に目にするものだから、けっこう重要なものである。長く大事に使いたいし、高価なものは買えないけれど、ちょっとは贅沢して良いもの・気に入ったものを選びたいと思った。
面接室に新たに引き出しを入れることになり、そのタイミングで玄関マットも新調することにした。スタッフと一緒に、前から目をつけていた店に出かけた。カーペットや絨毯の専門店というだけのことはあり、希望のサイズで予算内のものが次々出てくる。あれこれ迷った末に“オールド絨毯”と呼ばれるジャンルの品物を選んだ。デザインが面白いと思ったのが一番の理由だけれど、新品、ではなくずいぶん昔に作られたもの、ということにも惹かれた。
檀渓心理相談室は私が室長を引き継いでからはまだ間がないが、開室してからはすでに30年近く経つ相談室である。相談室・カウンセリングルームとしては老舗のひとつとも言えるだろう。そのため、相談室内にはずっと前から使い続けている古いものがいろいろある。箱庭やプレイセラピー用のおもちゃの中には、今では欲しくてもなかなか手に入らないようなものもあり、私たちはその一つ一つに愛着を持っている。確かに古いものだけれど、なんとも言えない味があり、良いものだからこそ使い続けている。例えば、箱庭用の粘土で作られた人形は、今売られているプラスチックのものとは違って細かい細工などはないが、その分、ゆるく穏やかな雰囲気があり、かえってどんな表現にも合って使いやすい。手触りや質感もいいと思う。こういった箱庭用のおもちゃは長年かかって集めてきたもの・集まってきたもので、この相談室の宝だ。
こういう古いものがたくさんあるこの相談室には、昔に一つ一つていねいに作られたという「オールド絨毯」が合うような気がした。実際に玄関に置いてみて、散々迷ったけれどやはりこれが良かったと思った。と同時に、こういった私たちの相談室にあるものをホームページで紹介したいという考えが出てきた。今回、新たに引き出しをひとつ相談室に入れたが、これも必要なサイズで気に入ったデザインのものがなく、知人に頼んで作ってもらったものだ。スタッフ全員、相当に気に入っている。だからこそこれもぜひ見せたい。
相談室にある様々なものは、日常生活から少し離れた “相談室”というところだからこそここにある、というものが多い。今回購入した玄関マットも、相談室で使うからこそこれを選んだのであって、自宅用のものとしては選ばなかったと思う。私たちスタッフは毎日のように目にしているから珍しいとも思わないが、改めて考えると普段の生活ではあまり目にしないものがいろいろとある。
こういった相談室にあるいろいろなものを「檀渓心理相談室にあるいろんなもの」で紹介することにした。掲載するものは少しずつ増やしていくつもりだ。私たちの相談室の雰囲気を感じ取ってもらえるのではないかと思う。