西村先生のご自宅に残されていたノートに記されていたメモです。
このノートは昨年末にご家族から渡されたもので、内容は面接についての備忘録的なメモがほとんどです。ただその中に箱庭の解釈について書かれたものがあり、それを今回掲載します。このメモに日付は書かれていませんでしたが、おそらく2011年の夏ごろのものだと思われます。表記の仕方は可能な限り原文を尊重しました。
新箱庭療法
西村洲衞男
〈河合の箱庭療法〉
Clの自発性を尊重し、イメージの自然的な表現による内的世界における意識と無意識の統合を目指した
コンプレックスの解消、コンプレックスの持つエネルギーの回収を目指した
〈最近のユング派〉
コンプレックスがイメージを出し、箱庭の情景を構成して行く
〈新箱庭療法〉
・Clは自分の好きな情景を箱庭の中に表現する
・箱庭に表現された世界は、そのときその場の偶々の内的世界を反映しており、Clの世界観を示すもの(注:この部分に下線あり)である
“Clの世界観”
・世界はどのように構成されているか
どのような要素に分けられ、統合されているか
自分は何で表わされ、どこに位置づけられているか
外向的なタイプの人にとっての箱庭
EV、目に見えるもの、表現されたこと、そのことが大切だ
出て来たもの、意外なもの、見た目の感じ
大きさ、数量、領域、種類の多少等
…内向的な私には不明だ
内向的なタイプの人にとっての箱庭
表現されたものは何を意味しているか
ものの内包する意味を考える
箱庭に表現されたイメージはその人の世界内存在を表わしている
世界と位置づけ
→表現されているものは見えている世界
表現されていないところは見えていない
世界はどのように見えているか
外向的な人にとっては箱庭も、コラージュも、スクイグルも、9分割物語作成もみんな同じようなもの。─どこがどう違うか表現の仕方の違いとしか見ない
コラージュには未だに解釈方がない
コラージュには解釈方が必要ないくらい
単純な表現形式である ─赤ちゃんになりたい人は赤ちゃんを切って貼り付ける
箱庭では
・砂に埋める 砂をかける
・芝生を敷き上に並べる
・左方向への動き
・動物レベルの表現
・海底の表現
・物の上に物をのせる
新箱庭療法の要点
①夢や箱庭に表われるイメージは内界と外界の橋渡しをするものである。
イメージは○(一文字判読できず)の前面に出ていて、今現在活性のあるものである。
人はそのイメージを通して外界を見て、イメージに合うものを選択し、それを相手に行動する。 心のめがね(注:この部分に下線あり)
Ex.夜窓を閉めているのに窓はスルーと開いて男性が入って来ようとするので驚く…若い女性
Ex.若くして亡くなったはずの母親が老いぼれていて、その母親に何かをしてはいけないと云われる
②内的世界のイメージ
・混沌から構成的統合まで様々
・世界の見え方
自分の世界と外の世界
内界と外界の混交
・自己像と位置づけ
③心の位相(素材)
・人間、動物、哺乳類、爬虫類、昆虫、鳥
キャラクター
・植物、樹木、花、茸
・山、石、貝殻
・建造物、自動車
・宗教的シンボル
・柵、標識