やらなくてはいけないことに手がつけられず、ついついそのままにしてしまうことがある。すぐに手をつけて片付けてしまえばそれでおしまい、いつまでも気にしたり、何やってるんだと自己嫌悪に陥ったりすることもなくなる。頭では分かっているけれどどうにも取り掛かれない。
一方で、今すぐやらなくてもいいようなことなのに、早く片付けないとと焦って、無理をしてでも手をつけようとすることもある。ゆっくりと丁寧にやった方がいいことかもしれないのに、気が急いてそのまま置いておくことができない。
先日、前からやろうやろうと考えていたことに手をつけた。終わりが見える頃にになって、早く片付けてすっきりしたいという思いが強くなったのだろう、急に焦り始めた。他にやることがいろいろあって忙しい時でも、無理に時間を作り出して、何とか前に進めようとする。手を抜きたいわけでもない。ちゃんとやりたいという気持ちはあるのだが、ゆっくり丁寧に進める気持ちは失われてしまい、やることがどうしても雑になる。これでいいのかなと気になっているところも、根拠もないまま、もう良し!と振り切って終わりにしようとする。しかしいつまでも引っかかる。
少し無理をして四苦八苦した後にちょっと冷静になり、手をつけずに置いておけるというのもひとつの強さだなと思った。やらないといけないことがあってもできない時にはできないのだ。そこで焦らず、不安に動かされず、やるべきことを忘れるわけでもないし、無視するのでもない。そのまま手をつけずに置いておいて、何もせずにそこにいることが必要な時もあるのだ。ただほったらかしのままいるだけじゃないか、なまけだ、と言えばそう見えてしまうかもしれないが、そのままタイミングが来るのをじっと待ち続けることに価値があることもある。
「石の上にも三年」という言葉がある。「三年寝太郎」という昔話もあった。焦らずゆっくり待つことの重要性は、昔はもう少し意識されていたのかもしれない。私が焦って終わらせようとしたことも、結局は雑で粗いところが自分でも目について、やり直しをすることにした。無理して終わらせようとしても、結局は終わりとはならないのだ。早いすっきりとした終わりとはならなかったけれど、ものごとを置いたままにしておくことの重要性について改めて考えたことを一つの収穫としよう。