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8時間

 先週末、このホームページにも案内を掲載した、東京の中野にある矯正協会で行われた研修会に行ってきました。ここでの研修会に呼んでいただいたのは今回で3回目ですが、いつも終わった後に温かい気持ちになります。研修に参加してくれた人、ひとりひとりの普段の仕事の内容を詳しく聞いているわけではありませんが、皆さんの言葉の端々、目線や姿勢などから、真摯に熱心に仕事と向き合っている様子が伝わってきて、そこから何か温かいものを感じ取るのだと思います。毎回、私も明日からまたがんばろうという気持ちになって会場を後にします。

 今回は研修会の後に東京で別の用事がいくつかあり、研修会の翌々日に帰る予定でした。つまり昨日の月曜、よりにもよってちょうど新幹線が浜松-名古屋間で終日運休になった日です。

 当日はニュースを知らないまま東京駅に向かい、そこでの異様な雰囲気にびっくりしてしまいました。すったもんだの末に8時間かかってなんとか当日中に帰宅できました。道中いろいろと思い通りに行かないこともありましたが、それでも無事に帰宅できただけ良かったと思います。

 

 カウンセリングの場では、しばしば思い通りに行かず苦しい思いをしていたり、思いもよらないことが起きてどうしていいかわからず戸惑いや不安を抱いていたり、希望を失っていたりする人の話を聞きます。しかし同時に、思いもよらぬ偶然や、予想もしない展開、思いがけない人との出会いによって、新たな可能性を切り開いくところに立ち会うこともあります。偶然の出来事は良いほうにも悪いほうにも転ぶ可能性がある、それは当然と言えば当然のことなのかも知れませんが、カウンセリングは、その偶然を、思いもよらぬ展開を、少しでも良い方向性に近づけようとする場でもあるように思っています。具体的な方法があるわけではありません。しかし今は思い通りに行かずに苦しんでいたとしても、その先に何かがないだろうか、それを一緒に探すところだと思います。

 

 東京から8時間かかっての帰宅はなかなか大変ではありましたが、今回東京で出会った人たちとのつながりを思うと、今日この日に帰ることになったことも、これはこれで意味あることだったのかもしれないと考えていた8時間でもありました。

 

 

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