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ディスプレイ

 玄関の下駄箱の上のスペースを利用して、箱庭のアイテムを利用した箱庭的ディスプレイを置いている。スタッフが順番に製作を担当し、毎月内容を変えて、ホームページのトップにもその写真を掲載している。私も数ヶ月に一度のペースで担当するが、今回はどうしようかなとあれこれ考えながら作るのは結構楽しい。あらかじめこういうものにしようと考えてから作ることもあるが、実際にやり始めてみると、考えていたものとは全く違うディスプレイになることも多い。

 今、ホームページのトップに掲載されている写真と同じものが相談室の玄関にも置かれているのだが、ちょっとインパクトのあるディスプレイである。今回製作を担当したスタッフは、作ってから自分でもちょっと心配になったらしく、これでいいでしょうかと聞きに来た。確かにかわいい、ほのぼのした感じのものではなく、ちょっとびっくりするようなディスプレイだが、どこか彼女らしい勢いが感じられるもので、これはこれでいいと思った。スタッフの中から出てきたものであれば、それはこの相談室の中にも存在する何かである。それがはっきりと分かるのは悪くない。

 カウンセリングでいろいろ話をしていくと、今まで気がつかなかった自分の一面が見えてくることがある。良いものに見えたり、悪いものに見えたり、見え方はいろいろだ。しかしその「見え方」は、状況によって変わる。今まで見えていなかった一面が見えてくる時は、自分でも良く分からない不気味なもの、訳のわからない怪しいもの、バランスや調和を乱す悪いものに見えることがある。しかし時間が経つと、自分に必要不可欠な何か、新しく一歩を踏み出すためのもとになるもの、世界を広げるものに思えてきて、見え方がガラッと変わることもある。

 何かがある、それが良いものか悪いものか、すぐに判断できるものでもない。こころの中には何があってもいい。ただ、それがそこにあることを認めればそれでいいと思う。

 

 

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