連休を利用して富山に行った。旅行の目的のひとつは立山にある「立山博物館」と、その近くにある「まんだら遊苑」に行くことである。
まんだら遊苑は、相談室の前室長である西村洲衞男先生が富山に行かれた時に訪れて、とても気に入ったという話を聞いていて、一度行ってみたいと思っていた。ひとことで言えば “あの世”ついてのテーマパーク、みたいなところである。立山ならではの山岳信仰があるからこそ作られた、体験型アートスポットとも言えるだろう。テーマパークみたいといってもそれほど大きなところではなく、ゆっくりまわって1時間弱、終わるとちょっとすっきりした気持ちにもなる。富山市内から車で1時間程度、少し遠いけれど面白いところなので、富山に行かれた際には行ってみてください。ただ、小さい子どもは怖がると思うので、大人だけで行くことをお勧めします。
せっかく富山に行くのなら、ぜひ高岡銅器の一輪挿しを手に入れたいと思った。インターネットで見ると、ちょっと高いけれどこれなら買える、相談室の玄関に置くのにちょうどいいというものがあった。色や質感など実物を見て確認したいし、せっかくなら現地でと高岡市まで行ってみた。
ところが高岡に行ってから気がついたのだが、銅器のお店は日曜日や祝日などは閉まっているところが多いのだ。やっと開いているところを見つけたが、お目当ての一輪挿しは欲しいと思った色がない。別のお店に行ってみたが、やはり目当ての色がない。人気のものなのか、今から注文して2ヶ月ぐらいかかるかもしれないと言われた。
なんなら泊まっていた富山市内で探せば、お店もたくさんあっただろうし、もしかしたら在庫もあったのかもしれない。高岡へは富山旅行最終日に行ったので、そこから富山市内に戻るのも面倒だった。高岡の後は自分で運転して帰らないといけない。安全のためにも、4時間程度のドライブに向けて体力を残しておく必要がある。何も高岡で買わなくてもネットでも買えるだろう,しかしここまで来てないならこれは縁がないということなのだろうかなどとも考え、あきらめて帰ることにした。
高速に乗る前に、富山名物のますのすしを買って帰ろうと、これもあらかじめ目をつけておいたお店に行ってみると、驚いたことにすでに完売である。富山在住の人にますのすしはお店によっていろいろと違いがあると聞き、せっかくなら愛知では売っていないようなお店のものをと思って行ったのだが、午後の2時前にすでに売切れである。慌てて別のお店を調べて電話してみると、なんとここも完売とのこと。3つめのお店でなんとか手に入れてやっと高速に向かった。
とにかく高岡市内をうろうろした1日で、あちこち走り回ったわりにお目当てのものは手に入らず、うまく行かないなぁと思うことの連続だった。
しかし旅行というのはこういうものなのだ。いつもどこかに出かけるたびにそれを思い知らされる。天気が悪い、通行止めになっている、行きたいお店が閉まっている、欲しいと思ったものがない、見たいと思ったものが貸し出されていてその時だけない。もちろん思わぬ幸運を体験することもあるけれど、体験の量とインパクトの大きさからか、圧倒的にうまく行かなかったことの方が多い気がする。
旅行というのは、うまく行かないことを体験するために行くものだと言ってもいい。知らないところに行っていつもと違うことを体験するのだから、うまく行くことの方が少ないのも当たり前なのだ。その時には悔しい思い,残念な思いもするが、後になると面白い体験をしたと思う。おそらくこういうことが結局は個人旅行の醍醐味なのだろう。
ところで、かえってきてから再度、高岡銅器についてネットで見てみたところ、一番行きたかったお店は日曜祝日でもちゃんと開いていたことが分かった。現地でいくつかのお店が閉まっていたところで慌ててガイドブックを開き、そこの情報をサラッと見て休みだと勘違いしたのだが、実は工場見学が休みなだけで、直営店のほうはちゃんと開いていた。何をやってるんだか、と自分でもあきれてしまうが、やっぱり旅はうまく行かないことの連続だ。