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谷川さん 

 谷川俊太郎さんが亡くなられた。

 昨日、友人からのメールで訃報を知った。谷川さんの詩集やエッセイなどは何冊も持っていて、特に若い頃はよく読んだ。92歳、とのことで、友人から一緒に送られてきた息子さんの谷川賢作さんのつぶやきによれば、今年に入ってから不調の時期もあったが特に大きな病気というわけでもなく、ということだったそうだ。こういうのを「大往生」と言うのかもしれないが、私の中ではどうも谷川俊太郎さんと「大往生」という言葉がぴったり来ない。歳を取られても、若々しくチャーミングなところがあったように思えたからかもしれない。訃報に接しても、谷川さんが「亡くなる」というのがどうもすんなり飲み込めない感じすらある。

 

 谷川さんが、パートナーだった佐野洋子さんに「あなたは日本語が全て自分のものだと思っている」と言われて何も言い返せなかったという話をどこかで読みんだことがある。谷川俊太郎もすごいが、さすが佐野洋子、と思ったこのを覚えている。

 言うまでもないことだが、谷川俊太郎さんの詩にはとても素敵なものがたくさんあって、谷川さんの詩を愛好する人は、それぞれが自分のお気に入りのフレーズを頭の中にいっぱい入れているにちがいない。

 詩の言葉は短い。しかしだからこそ、すっと心の中に入ってくることがある。自分の心にぴったりする言葉に出会うと、それだけでなんとなく心が温まるような思いもするものだ。読みなれない人も多いかもしれないが、機会があればぜひ読んでみて、お気に入りの言葉を見つけてほしい。

 

 

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