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椅子の行方

 昨年、相談室の一番奥の広い部屋、セミナーなどにも使用することがあるルーム1のテーブルと椅子を新調しようと思い立った。あちこちの店を見てまわり、ネットでもいろいろと調べて、年末頃にやっと購入するものを決めて注文した。

 これまで使っていたものに愛着もあったが、長年使ったもので古くもなっていたし、何より椅子に張られている生地の色がカーテンの色と合わない、それがずっと気になっていた。生地の張替えも考えたが、迷った末に新しく購入することにした。これからも長く相談室をやっていくのだ。ここで思い切ってぴったりするもの、新しいものを買おうと思った。

 注文した商品が届くまでには時間がかかるとのことで、楽しみに待っていたが、一方で今使っているものの処分をどうしようかということがずっと気にかかっていた。

 テーブルはとても古いもので汚れもかなり目立つ。これは処分するしかないだろう。天板から脚を外してしまえば私の車でも十分運搬可能で、なんとかなる。しかし問題は椅子だ。使用頻度は高くなく、まだ十分使えるものなので、はじめはリサイクルショップに持ち込もうと考えた。ただ、まとまった数があり、かさばるもので運搬が大変になるだろう。運べるだろうかと不安に思っていたところ、テーブルと椅子の買い替えについて話をした知り合いがジモティーというサイトを教えてくれた。そのサイトを利用するとまだ使える不用品を必要な人に渡すことができる、引き取りに来てもらいたいと頼むことも可能だと言う。それはありがたい、利用しようかと考えていたところ、同様に今回のことを話した知人がリサイクルしてくれるところに自宅にあるものを持っていく予定がある、椅子も一緒に持っていくこともでききるがどうか、引取りに相談室まで行きますよと声を掛けてくれた。サイトに出品するための手間が省けるならその方がと思い、ぜひお願いしますと話をしたすぐ後に、また別の人が、あるところで椅子がいるという話がある、譲ってもらえないか、と言ってきた。確実にすぐに使ってもらえるなら、それが一番である。結局、知人がいる分だけ持って行き、残った椅子をもうひとりの知人がリサイクルしてくれるところまで運んでくれることになった。とてもありがたい。

 はじめはひとりでどうしよう、うまく片付けられるだろうかと不安に思っていたのだが、いざ人に話をしてみると、次々と役に立つ情報やありがたい提案が舞い込み、うまい具合に話がまとまった。今はほっとしたような、すっきりしたような気持ちでいる。ひとりで考えているだけで話は全く進まなかった、人に話をしてみるものだなと実感した出来事だった。

 

 

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