学生時代によく聞いていたラジオ番組の録音をインターネット上で聞けることをたまたま知った。スマホを利用すれば車の中でも聞ける。普段、運転中には穏やかな曲調のクラッシック音楽を流して、聞いているような聞いていないような状態でいることが多いのだが、ここ最近は懐かしさもあり車の中で昔のラジオ番組を熱心に聞いていた。
ところが、何だか妙に疲れるなと思うことが増えてきた。はじめはどうしてなのかさっぱり分からなかったが、あれこれと考えるうちに、最近、頻繁に聞いている昔のラジオ番組のせいだと気がついた。
とても楽しんで聞いていたし、ストレス解消にもなっているだろうと思っていたのだが、人の話を聞くことは私の仕事でもあって、どうしても知らす知らず聞くことにエネルギーを注ぎすぎてしまう。人と実際に会って対面で話しをするのは問題なく、むしろおしゃべりを楽しんでリフレッシュすることも多いのだが、ラジオのように一方的に話を聞かされるだけだと相当な疲れを感じる。疲れを通り越して苦痛を感じることも多い。この仕事を始めてからは、特定の音楽主体のラジオ番組を除いて、ほとんどラジオを聞かなくなってしまった。そこに突然、昔よく聞いていたものだとは言え、車内で頻繁にラジオ番組を聞くようになったのだから、疲れが生じたのだろう。
疲れの原因が分かってからは、昔のラジオ番組を聞くことをやめて、運転中は以前のように静かなクラッシックを流すようにしている。
昔好きだったラジオの番組を聞きたい気持ちもあるのだが、この仕事では人の話を聞いて自分がどう感じるか、どう思うか、自分のなかにどんな反応が生じるかが重要な手がかりとなる。話を聞くためのエネルギー、自分自身の中に生じてきたものをキャッチするだけのパワーを蓄えていないと、満足できる仕事にはならない。何よりも私自身が重要な商売道具なのだ。だからこそまずは自分自身を大事にしなければならないのではないか、そう思った。聞きたいものを全て我慢する必要もないが、疲れを感じるほど集中して聞くのは避けないといけないだろう。
個人的にはバッハなどのバロック音楽が一番穏やかに聞くことができて、車内で聞くのに一番ぴったりくる。やはり聞いているような聞いていないような、ぼんやりした聞き方だが、それでもなんとなく脳内がマッサージされてコリがほぐれるような感じだ。ここ最近の疲れもなくなってほっとした。やはり運転中にリラックスできる音楽を聞くことは大事だ。
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