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鳥を見る目

 先日、名古屋市科学館で開催されている特別展「鳥」を見に行ってきた。「一生分の鳥が見られる!?」とポスターに書かれているが、確かにたくさんの標本の展示があり、さらにその上で鳥の起源・進化についての話やゲノム解析による最新研究の結果分かったことなどの解説もあって、盛りだくさんの興味深い内容だった。

 ただ、今回の展示で私にとって一番面白く、印象に残ったのは鳥の生態を解説した4コマ漫画だった。鳥の生態の解説とともに掲示されていて、解説の内容を分かりやすく示していたのだが、どれも分かりやすくとても面白い。標本や映像などもそれなりに関心を持って見たが、いつの間にかこの漫画の方が楽しみになってしまい、それを目当てに会場内を進んでいくような感じになっていった。

 漫画を描いている人は「ぬまがさワタリ」という人で、帰ってから改めて調べてみたところ、さまざまな生きものに関する図解本(イラストと解説)を出している。子どもも大人も楽しめそうな本のようだ。人に説明ができるということは生きものに対する知識と関心があり、愛情も相当に強い人なのだろう。

 どんなことでも本物に接することや自分で実際に体験してみることは大事なことだ。しかし時に、詳しい人に話を聞くと、実物に接する以上に興味が持てることがある。詳しい人は、対象への強い関心と愛情があり、知識も豊富で、話を聞いているとだんだんこちらもその人の視点で対象を見ることができるようになるからだろう。最初から片寄った印象を抱くことになるかも知れないが、物事の良いところ、面白いところに至るひとつの近道を知ることもなるのかもしれない。

 

 

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