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箱庭を作る

 先日、スタッフと一緒に箱庭の会を行いました。

 それぞれ箱庭を作って、皆で見て意見や感想を言い合う会です。研修の一環として時々やることにしています。あらかじめこういうふうに作ろうと考えてきたスタッフもいるし、全くのノープランで来て作ったスタッフもいましたが、出来上がったものを見るとどれもその人らしさがうかがえて、作るだけではなく人の作った箱庭を見ることもおもしろいものです。

 時々ふっと思いついてひとりで箱庭を作ってみることがありますが、ひとりではなく他の人に見てもらうと、自分にはない視点からの意見も得られます。スタッフと一緒の箱庭の会は、同じメンバーで定期的にやっていることもあってお互い意見や感想を言いやすく、以前作った箱庭からの変化も分かります。箱庭を見ながらの話も盛り上がり、楽しみながらもそれぞれに発見や気付きを得て終わりました。

 今回、箱庭を作ってみて、改めて箱庭は良いもの、立派なもの、まとまりがあるもの、皆が感心するような表現をするものではないと感じました。当然のことですが、箱庭は自分のために作るものであって、無理をするものでも、取り繕うものでもありません。私は今回全くのノープランで、箱庭の前に立ってからどういうものを作ろうかと考えて作り始めましたが、他のスタッフの力の入った作品を見た後での箱庭作成ということもあり、それに影響されて相当に気合が入りました。しかし作り始めると、うまくまとめられるところと、どうしてもうまくまとめられないところが出てきて困ってしまいました。あれこれと試みてはみたものの、どうやっても満足するかたちに持って行くことができないのです。結局、これが今の自分だなと思い、満足しないところをそのままにして作成を終えました。

 うまくまとめられないということは、そのあたりのことがまだよく見えていないということなのでしょう。気付いていないことや体験が足りないことがあり、だからこそよく分からないし、イメージがつかめないのです。それが良いとか悪いとかの問題ではありません。ひとつ進めば次の課題が出てくるものです。今回、箱庭を作ってみて、今の自分はここまで来て、現状はこんなふう、そして今はこういう課題を抱えているのだと自分なりに考えられたことがひとつの大きな収穫でした。

箱庭を作ってみて分かることがあります。感じることがあります。それを実感した会でした。

 

 

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